CGラボ委員会 開発担当委員 宮崎慎也
CGラボは、平成7年6月の開所式以来、丸2年が経過した。今年5月には第II期設備拡充計画も無事完了したので、この間の経緯を簡単に紹介しておきたい。
開所時には総費用1億4千万をかけて、当時世界最速のグラフィックスワークステーション SGI Power Onyx RealityEngine2 をコアとして、高速な画像転送が可能な光ネットワークで結ばれた高性能ワークステーション群、デジタル映像編集のためのマッキントッシュ群、そしてレコーダブルレーザディスクやベータカム等で構成されるビデオ編集装置を整備した。その後、トヨタ自動車株式会社デザイン部と本ラボ初の産学共同研究が始まり、自動車のデザインを仮想空間で行えるシステム開発のために120インチの大型スクリーンが設置された。また、昨年度からの2年間の契約で情報処理振興協会 (IPA) からの創造的ソフトウェア育成事業の委託研究に「人間の身体活動の視覚情報統合とその感性情報処理ソフトウェア開発」が選ばれ、その一環として視点入力装置、3次元計測装置が新たに導入された。
今回の設備拡充では、これら大型機器類の再配置に加え、サイバーグローブ、反力生成装置、円筒面ワイドスクリーン等の仮想現実(VR)のための装置の充実に重点が置かれた。この結果、CGラボにはVRの研究に必要な最先端の対話入力装置、グラフィックス処理装置および表示装置がすべて揃い、本格的なVR研究が行える環境が整備されたことになる。今後は、VR技術を利用したあらゆる分野の研究において本ラボが様々な形で貢献していくことが期待される。
本ラボは中部地区における研究、教育および産業の情報発信基地の一つとなることを使命としており、本ラボが単に学内研究施設にとどまらず、他の研究教育機関、企業と密接なつながりをもって共に発展していくことが望まれている。産学協同の研究を含め、現在までにラボで行われた研究の代表的なものを以下に示す。
以上のように本ラボは現在、3次元CG、3次元画像処理、多次元情報の可視化、マルチメディア・インタフェース、感性情報処理、仮想現実などの最先端の映像関連研究に利用されており、その成果も多方面で発表されている。今後は、ハード面のサポートのみならず、研究交流のための対外的なディスカッションの場の提供や初心者を対象にした講習会の開催などのソフト面もサポートしていく予定であり、地域社会に広く貢献できる設備として総合的な設備を進めてゆきたい。