Rendering of Electron Density Clouds for Atoms and Molecules by 3D Computer Graphics
Hiroyuki Yoshioka, Kouji Hamamoto, Satoru Kaneda, Masanobu Nishimoto,Shinya Miyazaki, Yasuyo Hatano, Shigeyoshi Yamamoto(Chukyo Univ.), Toshiaki Kakitani(Nagoya Univ.)
原子軌道や分子軌道の関数式から電子のふるまいを理解することは容易ではない。本研究では、コンピュータグラフィックスの透過処理により軌道関数や電子密度関数を電子雲として表現する。関数の値に基づいて光の透過度を与えることにより、電子の偏りを表現する。対話処理による透過率の変更、描画処理の高速化により望ましい画像を容易に生成することができる。
It is difficult to understand behavior of electrons from atomic orbitals or molecular orbitals. We present the way to represent orbital function or density function as electron clouds with translucent drawing in computer graphics. We use the value of the function to decide opacity, which can effectively represent destribution of electrons in atoms and molecules. Interactive optimization of opacity and efficient result desirable images easily. Keyword: scientific visualization, molecular graphics, molecular orbital, density cloud, volume rendering, computer graphics
現在の量子化学では軌道関数や電子の存在確率を示す密度関数で電子のふるまいを表現することが適当であるとされている。これらの値の高いところを「濃い」、すなわち光が透過しにくい、また値の低いところを「薄い」、すなわち光が透過しやすいとすることにより、電子の偏りを表現することができる。
コンピュータグラフィックスにおいて満足のいく画像を得るためには、十分に時間をかけて高度な処理を施す必要がある[3]が、複雑な処理をすれば画像生成のための処理時間が増加し、全体的な立体の情報を得るための任意方向からの観測が困難となる。電子密度の空間分布を理解するためには視点を変えて様々な方向から観測できることは重要である。そのために、標準のグラフィックスハードウェアを前提とした描画方法を実現する。基本的には透過処理を含んだ多角形ポリゴンによる描画を行い、密度関数の大きさに応じた光線の不透明度の決定、描画処理の高速化を行う。電子雲表示は概して、全体的にぼやけた描像となるため不透明度の決定は重要となる。密度関数の値から不透明度を決定する関数は、関数の変更、変更後描画を対話的に繰り返し、最適なものを決定する。
a(x, y, z) = a ・ r (x, y, z)b ( a, bは実数) (1)
立方体格子面の描画処理は、高速化のため各格子の6面のうち最も視覚効果のある視線となす角が最も大きな方向の面のみを描画することとし、面の描画にはスムースシェーディングを施す。ここで格子の全頂点のうち、式(1)の不透明度の値が十分小さい頂点は高速化のためにあらかじめ描画処理のリストから除いておく。また、透過処理のため視点から最も遠い列の面から描画する。
図1 ホルムアルデヒドの1電子密度関数 | 図2 レチナールの分子軌道(HOMO) |
謝辞
本研究を進めるにあたり、基盤プログラムの開発を担当した株式会社コンピュータ・テクノロジー・インテグレイタの薄井智貴氏に感謝します。
参考文献